ナポレオンの栄光を描き、新古典主義を確立した ジャック=ルイ・ダヴィッドの代表作『ナポレオンの戴冠式』は全長が10メートル近くもあり、ルーヴル美術館の中でも最も大きな絵画作品のひとつです。
臨場感を出すために、空間は実際より小さく、そして191人の人物は等身大で描かれ、ずらりと人が並ぶ画面を、背景を3つに分ける柱が安定感をもって支えています。
中央のナポレオンは、右背景の人物たちが影になることで引き立てられ、さらに左からの光を受けて輝いています。
今回は、ルーヴル美術館の見どころ『ナポレオンの戴冠式』を鑑賞するにあたり、基本的な4つのポイントを解説します。ぜひ知識としてお役立て下さい😌
【①ノートル=ダム大聖堂】
『戴冠式』は1804年12月2日、パリのノートル=ダム大聖堂で行われました。これを機に大聖堂はゴシック様式から新古典主義に改装されています。
【②ローマ皇帝式】
ブルボン王朝の様式と違うことを示すため、杖とローブには、ナポレオンの象徴である鷲と蜂があしらわれています。
【③ピウス7世】
本来は戴冠される者がローマに出向くものですが、ヨーロッパの覇者 ナポレオンは、ローマ教皇を呼び寄せた上、教皇の役目である戴冠まで自分でやってしまいます。
当初はその場面が描かれていましたが、「傲慢に見える」という意見を受け、ナポレオンが皇妃に戴冠する場面に描き直されました。
ピウス7世は、これらの言い訳のために、宗教画によく登場する人差し指と中指を伸ばした、祝福のポーズで描かれています。
【④政治的な意図】
本作は、ナポレオンの栄光を後世に残すための為のイメージ戦略として描かれています。よって、皇帝になることを反対し、列席を断ったナポレオンの母を含む欠席者は、ダヴィッドによる創作です。
また、皇紀をダヴィッドの19歳の愛娘をモデルに若々しく描いており、ナポレオンの母の左上には、スケッチするダヴィッド本人も登場させています。
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