【民衆を導く自由の女神】は、画家のウジェーヌ・ドラクロワが1830年7月にブルボン朝の王シャルル10世が市民により倒されたフランス7月革命をテーマに描いた作品です。
7月革命はドラクロワが生きていた時代のパリで起こります。ロマン主義運動の指導者として『気高く、美しく、偉大な』市民の栄誉を讃える目的で本作は描かれ、1874年にルーブル美術館へ収蔵されています。
今回は革命のシンボル、フランスのシンボルとなった【民衆を導く自由の女神】の鑑賞ポイントを1分解説します。
パリに来る予定のある方、ない方、どちらの方々にも知識として役に立つ記事にしようと思いますので、ぜひ最後までお付き合い下さい。
【ウジェーヌ・ドラクロワ】
Eugène Delacroix (ウジェーヌ・ドラクロワ) は19世紀フランスにおけるロマン主義を代表する画家で、劇的な場面構成と優れた色彩表現でゴッホやルノワールなど後世の画家にも影響を与えた存在です。
史実を基にした作品を多く残し、フランス7月革命を題材としたこの『民衆を率いる自由の女神』が代表作で、特に有名です。
【民衆を導く自由の女神】
絵の中心に大きく描かれている、現在のフランス国旗となった3色のフランス革命旗を右手に掲げ、民衆を導く果敢な女性は、フランスのシンボルであるマリアンヌです。
フランス国旗の3色は『自由・平等・博愛』を意味しており、女性は『自由』を、乳房は母性すなわち『祖国』を、という具合に、ドラクロワはこの絵を様々な比喩で理念を表現しています。
作中に描かれている人物は、シルクの帽子を被ったブルジョワ階級、二角帽を被った学生、両手にピストルを持つ少年等、様々な階級の人々が描かれています。
マリアンヌの右手に描かれた両手にピストルを持ち不公正に立ち上がった少年は、有名な『レ・ミゼラブル』の主人公のモデルになったと言われ、また絵の左側のシルク帽を被った男性は、ドラクロワ本人という説もあります。
マリアンヌの足元には同胞の死体が描かれており、戦いの壮絶さを表しています。死を恐れず立ち上がる民衆の力強さ、勝利への高揚感、彼らを駆り立てている熱情が見えるかの様な表現力に注目して【民衆を導く自由の女神】を鑑賞してみてはいかがでしょう。
ぜひルーヴル美術館に足を運んだ際は、記事を参考にしてもらえると嬉しいです😌
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